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ホームコラム<中村一八のスペシャル対談<第2回/松本大さん<「考える」力をつける方法

中村一八のスペシャル対談


「考える」力をつける方法


【中村】「企業は人なり」なんですけど、21世紀は特に、その人をどのように育てるかが、焦眉(しょうび)の急になってきます。つまり、自分の頭でモノを考えられる人を育てなきゃダメだということなんですね。たとえ人がわんさといても、「考える」社員が少なければ、やがてその企業は衰退します。社長がいくら有能でも、ひとりの力では会社を良くするなんてできっこないですし‥。ですから、組織全体に占める「考える」社員の比率の多さが、企業の強さを決定づけると思うんですよ。


中村一八写真

【松本】僕もそう思いますね。


【中村】そこで「考える」力を養うには、まず洞察力を鍛えることが重要だと私は思うんです。本質を見抜く力を鍛えること。あとは、楽観的に考えればいい。悲観的ではいいアイデアも浮かびませんので。松本さんの話がおもしろいのは、他の人とは違う切り口で物事をとらえるからなんです。みんなが、右が正しいとか騒いでいるときに、いや左という見方もあるんじゃない、と松本さんは平気でいってのけますよね。しかも理路整然とし説得力がある。そのときみんな、はたと気づくんです。「ほんとうだ。左もありかーっ」てね。そこでお聞きしたいのは、松本さんはいったいどうやって深い洞察力を身につけたのか、という点です。


【松本】あるかどうかわからないですよ(笑)。もし僕に洞察力があるとしたら、それは物事に対する「なぜ?」「ホント?」「ひょっとして間違ってるかも?」という疑問から始まっているからだと思います。昔から、学校の先生に教えられることもストレートには受け入れない子供だったんで。小学生のとき、理科の授業で先生が教えてくれたことに納得がいかなくて、「先生、それはおかしいよ」って指摘したことがあったんですね。そしたらその先生はちゃんと調べてくれて、教科書に間違いがあったということがわかったんです。


【中村】最高の先生ですね(笑)。すると小学校時代には、もう鋭かったわけですか?


松本大氏写真

【松本】僕には批判精神というのが強くあるんです。それは父親の影響ですね。父は空襲を受けた経験からファシズムとか軍国主義とかに対する嫌悪感があったので、そういった全体主義を抑えられるのは批判精神である、という考えを持っていたんですよ。だから僕自身も、幼い頃から「イエスマンになるな」とか、「まず疑ってかかれ」とか、「お前はほんとうはどう思う?」というふうにいわれて育ったんです。「先生がいったからとか、何々新聞に書いてあったとかはきわめて危険で、だまされちゃう場合もあるぞ」ってね。


【中村】そうか!批判精神が根底にあるからこそ、複眼思考ができるんだ。


【松本】世の中には、納得できなくても受け入れなきゃいけないことはいくらでもあるじゃないですか。でも、自分でそれは正しいかどうかを考えてみるべきだ、というのが批判精神なんですよ。考える力を養うには、まず「なぜ?」と疑問に思うことが大切だと思いますね。


【中村】いい悪いは別にして、どんな組織にも「2・6・2の法則」は存在するんです。いわれたこと以上のことをやる人2割、いわれたことだけをする人6割、いわれたことができない人2割、が内訳です。


まず、いわれた以上のことをやる人、つまり仕事に何らかの付加価値をつける人ですが、この人たちは「自分の頭で考える」人たちですね。自分の頭で考えているからこそ、お客さまや上司に「お土産」をつけることができる。こんな人は勝手に伸びていくわけですから、放っておいても大丈夫。


一方、過半数以上を占める「いわれたことだけをする人」は、よく観察すると「なぜ?」と自分の頭で考えないで、「部長がいってるから」とか「先輩がやれっていうから」とか「ウチの伝統なんだよね」とかブツブツいいながら行動してる。いわれたことだけをやっていると、不平不満はあるにせよ、とってもラクチンなんですね。


でも、「なぜ?」と自分で考えることをしないから、どんどん「考える」力が衰退してしまう。思考回路停止状態です。そうなると、組織全体の力はどんどん弱くなる。気がつくと、個人も会社も末期症状になっています。


【松本】人間は生き物だから…。たとえば、手も使わなかったら動かなくなるし、歩かなければ足も衰えちゃう。肉体と同じように、頭の中も使わなければダメになっていきますね。ただ、組織として考えたときに、批判精神と同じくらい重要なのは、そういった個人の意見を会社側が受け入れることなんですね。先ほどの小学校時代の話もそうなんですけど、先生が僕の意見を受け入れてくれなかったらその時点で考えることをやめちゃうわけですよ。


松本大氏写真

【中村】それ重要ですね。「受け入れる」ってことは、認めてあげることですね。たしかに批判精神や洞察力があったとしても、周りが「どうせいっても無駄だよね」環境であれば、私だって考えること自体がバカらしくなってしまいます。人がいちばん悲しく辛いのは、叱られることや罵倒されることではなく、無視されることですから。


【松本】「考える」人をつくるには、社員が一生懸命考えてきたアイデアに対してちゃんと経営者なり会社が受け止めて、それをフィードバックすることが大切です。


【中村】キャッチボールのように(笑)。


【松本】そう。もしフィードバックできない場合でも、「ごめんなさい。こういう理由でできないんだ」とその理由をきちんと提示すべきですね。僕がトップとして意識しているのは、どんな意見にも「ちゃんと答える」ということなんです。聞いて返す、返すから聞く、みたいなそういう部分が「考える」人づくりにはすごく重要なんじゃないかな。



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