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トップインタビュー【一問一答】研究開発


-----新規事業について、中村さんのお考えをお聞かせください。


「パレートの法則」を持ち出すまでもなく、ほとんどの企業が、売上の80%は20%のコア事業から得ています。ところが、「桜は必ず散る」ように、いまの高収益事業もいつかかならず衰退するんです。時代が変われば、今日の強みも弱みに変わる。生き残るためには、企業は絶えず新しい商品や事業を創造していかないといけない。時代に合わせて経営を常に変革させる必要があるのです。

トップインタビュー【一問一答】研究開発

-----「桜は必ず散る」ですか。ユニークな表現ですね。


どんなに優れたビジネスモデルも、環境の変化に順応していかなければならない。そこで、重要になるのは、本業に余裕のある時期から、新事業に取り組むことです。第2の柱、第3の柱を、どんどん構築していく必要があります。ところが、新しい事業というのは、商業というよりは「農業」に近く、軌道に乗せるまでにはある程度の時間を要します。


-----新規ビジネスは"農業"に近いのですか?


ええ。土壌を耕し、新しい苗を植え、水をやり、丹精込めて育てることが求められるからです。種をまかなければ花は実らないように、1年や2年では結果がでないものも少なくない。桃栗3年、柿8年…。新しい世界に繰り出すには、それなりの年月が必要です。製薬業界など、新薬として日の目を見るのに、数十年かかるケースだってあるんです。確実にいえることは、メーカーはもちろんのこと、小売りであっても、問屋であっても、次の第2の柱、第3の柱の構築に力を入れなくては生き残れない。


-----第2の柱、第3の柱を成功させるには?


「時流に乗る」ことが不可欠です。顧客ニーズを先取りし、研究開発を行います。いくら品質が高くても、どれだけ値段が安かろうとも、時代の流れにそぐわないと顧客には受け入れてもらえない。そのためにも、いかに独自商品を開発し続ける体制をつくりあげるか。これこそ業績向上のカギを握ります。米国で成功したビジネスモデルを安易に"輸入"するケースは多いのですが、どこかのモノマネではだめで、独自のビジネスモデルを構築することが前提となります。


-----他に留意すべきことは?


在来の慣習にとらわれず、古い業界秩序や価値観に固執しないことです。そのためには、現場主導の革新に挑まなくてはならない。挑戦者精神、自己変革力を社風として根づかせ、新製品、新事業の創出を目的とした組織の体制を整えることです。


-----どうすれば、そのような社風ができるのですか?


社員ひとり一人が能力と努力を発揮できる場を与え、自ら考え、発言し、実践し、反省する仕組みをつくることが大切です。これが社風となります。幹部だけで構成するのではなく、若手や女性を積極起用した社長直轄のプロジェクトチームの発足はその有効な手段となりえます。また、「世の中にこんな商品があったらいいなぁ」とか「こんな商品開発をやってみたい」などの潜在的な提案を促すためにも、社内コンペを実施することも妙案です。


-----若手や女性で大丈夫でしょうか…。


良きアイデアの前には地位も肩書きも関係ないんです。"社長直轄"にする意味は、それを良しと思わない古参幹部の圧力によって、つぶされるのを防ぐ意味があります。実際のところ、どれほど新技術を説明しても、その素晴らしさがわからず、反応も鈍い幹部も少なくないのです。変化を拒むのは人の自然な反応とはいえ、従来の発想ではまったく考えられない商品を開発すると「そんなもん売れるか」とすぐ拒否反応を示します。だったら、既存事業はベテランに、最先端の技術は若手に任せればいいんです。


古いものとの調整に時間がかかりすぎては、タイミングを逸することもあるからです。こうした理由から、プロジェクト推進には、社長という強力な"理解者"が必要なのです。カネを捻出するだけでなく、反対勢力の防波堤となり、汗も知恵も時間も提供する覚悟がトップには求められます。


-----その「カネ」についてですが、研究開発費をどう考えればいいでしょうか?


一見、ムダに見えることが多いのが研究開発というものです。ばく大な資金をつぎ込んでも「ヒット商品」に結びつくとは限らない。開発投資は、純粋に「固定費」と考え、新たな事業構想、将来のための投資費用と位置づけるべきでしょう。米国のIT業界では売上高の15%を研究開発にあてている企業も少なくありません。ベンチャーなら売上の5%、中小企業なら3%がひとつの目安になります。


-----「最小の投資で最大の利益を…」ですね。


いや、そうではなく「最大の利益を得るには、必要な投資を最大限に行わなければならない」が正解です。利益を生むためにはどのくらい資金が必要か、という視点が重要です。企業活動におけるコストパフォーマンスとは「最小の投資で最大の利益をあげること」ではないんです。たしかに、机上論からいえば、「できるだけ少ない投資で、最大の効果を生む」が理想ですが、実践となると、必要なコストまで削ったばかりに、後で困ることが往々にしてあります。


-----必要なコストまで削らないことですね。


大事なことです。経営の本質とは、ヒト・モノ・カネをうまく活用して最大の成果を生むことです。もちろん、投資対効果の視点はきわめて大事ですが、「最大の利益を上げるために必要な投資を最大限に」行うことが前提になります。あくまで利益の追求をベースに、必要な投資は惜しむなということです。とはいえ、どんぶり勘定ではいけない。思わく通りにコトが進まなくても、企業存続の危機に直結しないように経営指標を常に意識し、三年目で黒字化できなければ撤退するなど、明確な基準をつくることも大切です。


-----他にも同じカテゴリーに属する「費用」はありますか?


広告宣伝費や採用活動費です。研究開発投資同様、将来の利益の源泉となります。その一方で、必ず抑えるべきは無駄なコストです。たとえ1円、2円であったとしても、無駄なコストはその削減に徹底的に全社的に取り組まねばならない。大きな組織なら、小さな無駄の積み重ねが億単位のコスト増につながるのです。


-----プロジェクトチーム存続のうえで気をつけることは?


足踏みがしばらく続くと途中で士気が下がってきます。途中で中だるみや士気が下がらないように、毎週のように経営者とコミュニケーションを図るなど、常にチームの「存在意義」や「目的」を全員で共有し続けることが肝心です。


-----決して平たんな道のりではないと…。


事業を軌道に乗せる道のりは、想像を超える苦労がつきものです。いつだって新商品開発の過程は平たんではなく、悩みながら、もがきながら、苦難の連続ともいえます。試行錯誤を何度も重ねて時間はかかるし、難航がつきもの…。行き詰まって、具体的な成果がなかなかでなければ、焦燥に駆られ、毎日が苦しくてたまらない感覚に陥ります。周囲の視線も厳しくなります。


「売れなかったらどう責任をとるつもりだ」とか「無駄なカネばかり使いおってからに」など、どこともなしに外野の声が聞こえてくるわけです。責任者や開発メンバーはいつも厳しい立場に立たされます。でも、このときが正念場です。「若い人の懸命な取り組みを妨げないでほしい」と経営陣に私は念を押します。まどろっこしく思えても、経営者も「耐える」ことを覚えなければならないんです。


-----辛抱強さが重要になるということでしょうか?


短兵急に結果を求めると、成果を出しやすい行動に走りがちになります。誤解を恐れずにいえば、経営陣はあまり短期に成果を求めすぎないことですね。


トップインタビュー【一問一答】中村一八

-----それはどうしてですか?


短期的な利益の確保に追われる傾向が強いと、メンバーの働き方に「手っ取り早く」や「無難にいくか」などの好ましくない姿勢を植えつけてしまうからです。息の長い革新的な開発の芽も摘んでしまう恐れがあります。新しいアイデアはふとした拍子に「あっ、これだ」とひらめきます。生半可な気持ではだめですが、チームにはある程度の「遊び心」も必要です。


机にどっしり腰を落ち着けるのではなく、街に出掛け、アンテナを張り巡らせ、道行く人の会話に耳をそばだてるのです。これから世の中に何が必要とされるのか、どのように社会に貢献できるのか、常識にとらわれず、常に顧客の立場に立って市場を見て歩き回ることも大切です。


-----万一、失敗したときは…。


責任者の交代もありえます。しかし、半年後には再出発するチャンスを与えることを忘れてはならないですね。


-----会社の立て直しや経営指導に奔走され、多忙を極めていらっしゃいますね。


そうしないと誰も怖くて手を挙げないですから(笑)。むずかしいプロジェクトは必ずしもうまくいくとは限らない。具体的な成果を上げられなかったときに、給料が下がったり、ハシゴを外されるようだと、だれも困難な課題に挑戦しなくなってしまいます。せっかくの素晴らしいアイデアも、いざ事業化の段階で、採算がまったく合わないことが判明し、断念することもあります。予想外にヒットするときも、またその反対もあります。


でも、失敗を否定してはいけない。「敗北」や「屈辱」も勉強になります。その過程から思いがけない発見も多いんです。未知への挑戦というのは、ノウハウも少ないため、失敗はつきもの。しかし、転んでもただでは起きないという意気込みで、失敗を次の成功にいかす"しぶとさ"が大切になってきます。困難だからこそ、将来をにらみ、自分や仲間を信じ、果敢にチャレンジすることです。リスクに立ち向かって、成功するまでトライし続ける挑戦欲を失っては、革新的な社風など生まれるわけがないのです。


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