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クロージング力とは何か



購入後の後悔


数年前、長期間通い続けたお客さまに念願の受注をいただき、意気揚々と喜んでいた社員がいました。「クロージング力を磨いた成果です」と、ガッツポーズで自身の勝因を分析していました。ところが、翌日に事件が起こりました。


朝一番に「何度も足を運んでくれた彼にはほんとうに申し訳ないが、あの話はなかったことにしてほしい」と直属の上司宛に電話がかかってきたのです。契約書も交わした直後だっただけに、私も驚きました。


お客さまに事情をよく聞いてみると、彼がとったクロージングの手法は、「お願い、お願い」の一点張りだったようです。あまりの熱意にほだされて、断れなくなってしまったけれど、冷静になってよくよく考えてみると「やはり、いまは必要ない」という結論に至ったということです。


決断を上手に促す


クロージングとは、押しの強い営業マンが「今日は絶対に契約書にハンコを押してください」と相手に迫ることではありません。両手を合わせて「注文をください」と拝み倒すことでもありません。営業におけるクロージングとは、契約締結を意味します。すなわち、相手に決断を上手に促す行為がクロージングといえるのです。


クロージングができないと、たとえ商談が盛り上がっても、話が拡散するだけで、契約締結にたどり着きません。それまで、どれだけ正しい営業プロセスを踏んでいようとも、成約には至らないのです。


3つの心の揺れ


たとえば、あなたはお客さまから信頼され、高く評価されている営業マンだとします。人間関係もきわめて良好です。お客さまのホンネも潜在ニーズもしっかり把握し、価値ある提案をしたとします。そして、その提案に対してお客さまも心からご納得いただけたとします。


ところが、いつまで経っても、お客さまから最終の意思決定がもらえないことがあります。それは、多くのお客さまは契約前に購入をためらうものだからです。契約直前に心配になったり、不安に駆られたりするのは、結婚前に婚約者が「ほんとうにこの相手でいいの?」と憂鬱になるマリッジブルーと心理状態はよく似ています。


購入前に、購入を躊躇(ちゅうちょ)する理由には、3つの心の揺れ(心理的抵抗)が考えられます。第一は、タイミングです。「ほんとうに、いまが買い時なのか、なにも焦らなくても、もう少し後でもいいのではなかろうか。待てばもっと高性能なものが発売されるのではないか」という心の揺れです。


第二に、コストパフォーマンスです。「支払額は妥当か、価格に見合うだけの十分な価値があるか、他でもっと安く購入できる方法はないか」という迷いです。第三は、自身の決断の正当性についてです。「だまされていないか、本当に今回の自分の決断は正しいものなのか、本当に期待通りの効果が得られるのか」という不安です。


ヒントはTVショッピングにあり!


クロージング力イメージ

これらの3つの心の揺れを払拭させるヒントは、実はTVショッピングに隠されています。いままでまったく意識していなかった商品であっても、クロージングの工夫次第では、視聴者の潜在的な購入意欲を高め、思わず電話で注文してしまうという行動につなげることができるのです。


たとえば、「残り、わずかです!」と商品の残数を画面上にリアルタイムに表示することにより、「早く買わないと、売り切れてしまう」という焦燥感を芽生えさせるねらいがあります。つまり、いまこそ絶好のタイミングです、ということを暗に示唆しているのです。


また、○○円以上お買い上げなら送料が無料になるとか、○○を購入するともれなく○○もついてくるとか、競合企業よりも保証期間を大幅に延長するなどの例は、コストパフォーマンスの良さを訴えているのです。


さらには、実際に使用しているユーザーの生の声を紹介したり、受注の電話が殺到し数十人ものオペレーターがフル稼働しているシーンを映し出すのは、「あなただけじゃなく、多くのお客さまも同じ気持ちですよ」と、自身の決断が決して間違っていないことをアピールしているのです。


まさに、買うか、買うまいか迷ったり、購入をためらっているお客さまに対して、「大丈夫ですよ」と、そっと背中を押してあげるような感覚こそ、クロージングのほんとうの役割といえるでしょう。もっとも大事なことは、相手に圧迫感や"買わされ感"を与えないようにするのはもちろんのこと、お客さまの不安や疑問を解消できるようなクロージングを心掛けることです。心の奥底の不安をひとつひとつ丁寧に取りのぞいてあげられるかどうかが、受注成約率の明暗を分けるといっても過言ではないのです。


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